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Харваач ! XXVII

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“おれはいったい、なにをやっているんだか…”

自分に嫌気がさしてきた。でも足は止まらない。
そのインターネットカフェは、国営デパートと国営サーカスの劇場を結ぶ道沿いにあり、日本人経営で有名な、サクラベーカリーの並びにある。
店に着いたが扉は閉まっていた。ノックしてみたが、中に人の気配は無く、今日はもう閉店したようだ。残念ながら、中に入って思い出に耽ることは叶わなかった。
そこからホテルまで一時間ほど歩いた。部屋に入るなりベッドに荷物を放り投げ、自分もそのまま倒れ込んだ。

そういえば、彼女と初めて会ったのは2年前、このホテルのロビーだった。
私の通訳として、ムンクさんに連れられてきた。簡単な挨拶を交わした。
名前は、マギーといった。

「 ― よろしくお願いします」
「ミヤガワです、よろしく」

ムンクさんとマギーは、話しぶりから旧知の仲のようだった。
だとすると、ウヌルさんもマギーのことをよく知っているはずなのに、なぜかウヌルさんの口からそのことが漏れてこない。

話は飛ぶが、マギーとウヌルさん、二人はとても優秀な通訳だが、それぞれ得意分野がある。
あくまで私の印象だが、学術的、政治的なことは元領事館員のマギーで、モンゴルの伝統的なことや暮らしについては専業主婦のウヌルさんだ。
のちにマギーは、領事館員時代の著名人とのエピソードをよく話してくれた。が、実をいうと、例の私の女物のデールは彼女が市場で選んでくれたもので、ウヌルさんだったら、まずそんな間違いはしない。

マギーと最初に出かけたのは、ウランバートル郊外、遊牧民のお宅だった。
9月初旬のちょうど繁忙期で、ゲルの傍らでは牧民の男たちが、集めた馬を一頭一頭、オールガという馬採り棹で追っていた。その家のご主人と奥様が私たちを迎えてくれた。
ゲルの中に通され、馬乳酒がふるまわれた。馬乳酒とは文字通り馬の乳から作られる酒で、モンゴルでアイラグという。色は乳白色で、乳酸発酵させて作るため酸味があるのが特徴だ。アルコール度数は低く、1°~3°くらいだそうだ。
私は下戸なので、どんなに弱くとも酒と名のつくものは苦手なのだが、せっかくだからとほんの少し試してみた。ピリッとした酸味とかすかなアルコールが口の中を刺激した。
味はクセや臭みが無くさっぱりとしている。

「あ、これ、カクテルにしたいね」

もう少し甘くすれば、私にはずっと飲みやすいものになる。
冗談半分だったが、マギーは聞くなり目を丸くして、

「えっ!?馬乳酒をカクテルにするの?そんなこと言ったの、あなたが初めてです」

よほど意外なことだったのか、その後も時々思い出しては同じことを言って、クスッと笑った。


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