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Харваач !  XXVIII

馬群.jpg

馬乳酒と羊の塩茹でをいただいたあと、ご主人自慢の馬に乗せてもらうことになった。
家の中に飾られている、ナーダムで授与された数々のメダルが、馬の調教師として相当な実力者であることを物語っていた。
ゲルの外に出ると、中学生くらいの年頃の少年が、私が乗る鹿毛馬に鞍(イメル)を付けてくれていた。鞍は前橋と後橋が反り立っているモンゴル伝統の物だ。
それはいかにも仕事用といった感じで、あちこち角がすり減って色も剥げている。

私は勧められた馬乳酒を断ることができず、すっかり酔ってしまっていた。
浮いた足で馬に跨ると、少年が腹帯を増し絞めしながら何か言い残し、別の鹿毛馬のところに走っていった。私と一緒に行くようで、自分の馬にハミを噛ませると、さっと裸背に跨った。マギーが心配そうに、

「この馬、速いから気をつけて、って。ナーダムで優勝したことがあるんですって」
「えっ…!?」

一瞬ドキッとしたが、ナーダムで勝った馬に乗れるなんて滅多にない機会である。
急いで酔いを醒まそうと、頸をまわして気を取り直し、手綱と一緒に鬣を少し取った。

ナーダムの競馬は、馬齢別に走る距離が決められており、およそ15km(2歳)~30km(6歳以上)の長距離で速さを競い合う。
世界的に見ても、馬の体力面で特に過酷な競馬で、騎手を務めるのも、馬を御せて体重の軽い10歳くらいまでの子供である。もちろん、馬も脚の速さだけでなく、卓越した持久力を備えていなければならない。
競馬の勝敗を決めるのは、馬が生まれながら持っている能力が50%で、あとは調教にかかっているという。調教師にとって腕の見せどころだ。

調教はまず、馬群の中から素質のある馬を選び出し、明け方から日中は繋ぎ留めたまま水だけしか与えず、夕方から夜にかけて、都度、必要な距離を走らせる。それが終わってから草を与える。さらに、馬の状態と気質、気候の変化などを注視しながら微調整する。この辺りに各々家伝の秘訣があり、ナーダムの時に馬体と気性が最高の状態になるように仕上げていく。
こうして絞り上げられた馬は、一見して別格であるのがわかるほど、精悍な雰囲気を漂わせている。それでも馬体が小さいこともあり、サラブレッドなどを見慣れた目には頼りなく映るようだ。

“こんなに小さくて、乗って大丈夫なのか?ちゃんと走れるのか?”

日本の乗馬愛好家が、モンゴル馬を前にして馬主に問うと、こう返ってきたという。

「マラソン選手で、体の大きな人がいますか?」

9.08-02 メダル.JPG


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